根管治療

根管治療で何度も歯医者に通っているのに治らない
このような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

根管治療は、歯科医院では日常的に行われているごく一般的な治療ではありますが、実は歯科の中でも最も難しい治療と言われている分野の一つ。その難しさから失敗も多く、再発を繰り返したり、歯の寿命を縮めてしまう結果になることも多々あるのです。

そして、その根管治療の難しさは、なんといっても歯の根の形状の複雑さにあると言っても過言ではありません。根管治療を成功させるには、根管内の細菌をすべて取り除く必要があるのですが、このような複雑な根の中を、裸眼で、また30分足らずでキレイに掃除しきるのはほぼ不可能と言えるでしょう。

しっかりと時間をかけ、拡大視野のもとで精密に治療をすすめる必要があるのです。

【ご存知ですか?根管治療の成功率】

現在、日本の歯科医院での根管治療の成功率は約50%程度と言われております。これは、海外での治療の成功率90%という数字に比べ、かなり低い数字です。

なぜ、これほど低いのかといと、それは日本の保険制度に問題があるからと言えるでしょう。

現在、日本における根管治療の診療報酬(保険点数)は、欧米の価格に比べて約20分の1程度。当然、使える時間や道具に制限が出てしまいます。

 現在、日本における根管治療の診療報酬(保険点数)は、欧米の価格に比べて約20分の1程度。当然、使える時間や道具に制限が出てしまいます。

例えば、根管治療の成功率を高めるには下記の2つのアイテム「マイクロスコープ」「CT」の使用は必須。欧米の歯内療法専門医ではマイクロスコープはすでに設置が義務化されています。

しかし、日本ではマイクロスコープの導入率はわずか5%ほど。これらの道具を使用しても、またどれだけ丁寧に時間をかけて治療をしても、治療に使った道具やかけた時間に応じて点数が加算されることもないため、治療すればするほど赤字になってしまうのです。

このような問題を解決するためには、最低限の治療しかできない保険診療という枠組みの中ではなく、自由診療として時間や道具の制限にとらわれずに根管治療を行うしか方法はありません。

自由診療というとどうしても「高い」というイメージが先行しがちですが、歯を守り再治療を防ぐことで、その後の治療にかかる費用や時間を削減することができるため、長期的な視野を持ってご判断いただければと思っております。

【成功率を上げるための必須アイテム】

マイクロスコープ

根管内のすべての細菌を完璧に取り除くためには、しっかりと目で確認しながら治療を行う必要があります。

しかしながら、細くて暗い根の中の状況を肉眼で確認することは非常に困難。どうしても見落としが出てしまいます。

当院では、最大21.3倍まで拡大できる歯科用マイクロスコープを使用し、しっかりと確認しながら根管のすみずみまでキレイに清掃しています。

ニッケルチタンファイル

複雑な根管内の治療は、一歩間違えれば大きなトラブルへと発展してしまう恐れがあります。
当院では、汚染物質を隅々まで除去する極細のニッケルチタンファイルと呼ばれる器具をはじめ、器具が歯の根を突き抜けたりしないよう正確な根管内の長さを測るモーターなど、専用器具や薬剤を使用してトラブルを未然に防ぎます。

CT

根管治療を行うにあたり、根の形や病巣の位置・広がりを把握することは非常に重要です。

CT画像では、従来のレントゲン画像ではわかりにくいこれらの情報も3次元的に把握することができるため、より確実に治療を行うことが可能となります。

また、レントゲンでは発見できないような小さな病変も発見することができるため、今までの検査ではわからなかった痛みの原因についても把握し、対処することが出来ます。

ラバーダム防湿

お口の中には、湿度や食べかすから細菌が住み着いて非常に増殖しやすい環境なため、無数の細菌が口腔内に生息しています。
本来歯の中は無菌ですが、唾液などに含まれる細菌が治療中に根へ入り込むことで、治療後に膿んでしまったり再発につながります。
そういった細菌感染を防ぐためには、ゴムのマスクのようなもので歯を覆って治療する部位だけを隔離した状態にする「ラバーダム防湿」が効果的です。

 

【歯根端切除術 ~根管治療が難しい場合~】

歯根端切除術とは、歯茎の外側からメスを入れ、感染した根の先の部分を根こそぎ取り除く方法です。

根管の形が湾曲しているため根っこの先まで器具が届かず清掃できないような状態の場合や、嚢胞があまりにも大きいなど、根管治療が難しい場合に行う治療法です。

スイスのベルン大学の実験報告では、歯根端切除術の際にマイクロスコープを用いることで、治療の成功率が、約60%だったものが 約90%まで上昇したとの報告もあります。

しかしながら、歯根端切除術は外科手術であるため、手術前にはCT撮影をし、位置や状態を十分に確認したうえで行う必要があります。 また、外側からのアプローチとはいえ、骨の中の非常に見えにくい部分を治療するためマイクロスコープでしっかりと確認しながら治療を進めることが必要です。